動画配信プラットフォームとは?知っておくべき基礎知識と有料版・無料版の違い

入門

動画は一般的に、テキストや画像に比べて訴求力が非常に高いと言われています。ある研究では1分間の動画から伝わる情報量は、テキストに換算すると180万語(Webページ3,600ページ分)に相当するとの研究結果も出ているほどです。※1

インターネット上での情報発信の方法としても最近では、リスティング広告などのテキスト広告から、SNSを利用したサービス紹介や動画広告のようなマーケティング利用に移り変わり、有料動画配信サービスの普及が進むなど、動画の活用方法は大きく広がっています。

企業が動画配信を利用する際、多くの場合は「動画配信プラットフォーム」を使用することになります。「動画配信プラットフォーム」とはインターネット上で動画を視聴するために使用されるシステムであり、YouTubeやニコニコ動画のような主にコンシューマー向けの無料サービスを利用することもありますが、法人向けの有料サービスもあります。これらは、それぞれどういった特徴やメリット・デメリットがあるのでしょうか。知っておくべき基礎知識についてご紹介します。

※1:アメリカの調査会社Forrester Research(2014年04月発表)

1. オンライン動画を配信する方法

企業がインターネット上で動画配信を行いたい場合、いったいどのような方法があるのでしょうか。大きく分けると主に次の3つの方法があります。

自社で動画配信用のサーバを立てる

企業で機材やサーバーの用意、データセンターの契約等を行い、動画を配信する方法です。この方法は自社の用途に合わせた詳細なカスタマイズが可能ではあるものの、エンジニアによる開発・運用やネットワークインフラへの投資などが必要となり、導入へのハードルは高くなります。

無料動画配信プラットフォームを利用する

YouTubeやニコニコ動画のような無料で投稿できる動画配信サービスを始め、FacebookやInstagram、TwitterといったSNSに動画をアップロードして配信を行う方法もこれに該当します。個人利用の場合、最も一般的なのはこの方法でしょう。YouTubeではチャンネルを作成することも可能なため、法人でチャンネルを作成している例も見受けられます。しかし、自動的に広告が挿入されたり、違法ダウンロードをされるリスクがあるなどのセキュリティ面での心配も増加します。

有料動画配信プラットフォームを利用する

動画配信に特化した機能を持つ、有料動画配信プラットフォームを利用した配信方法です。有料動画配信プラットフォームは動画配信システムや動画配信ASP(Application Service Provider:アプリケーションソフト等のサービス・機能をネットワーク経由で提供するプロバイダのこと)とも呼ばれます。ベーシックなオンデマンド動画配信機能以外にもLIVE配信機能や視聴制限や暗号化配信機能などが利用出来るサービスなども充実しており、法人向けに自社のサービス特性に合わせたカスタマイズが可能です。

▼詳しくは…

2. 有料動画配信プラットフォームが提供する主な機能

動画を配信する方法は主に3つあることがわかりました。その中でも企業ユーザーの多くは法人向けの有料動画配信プラットフォームを利用しています。このプラットフォームが提供する主な機能は以下のようなものがあります。

(1) 動画ファイルを管理するコンテンツ管理機能
(2) 動画ファイルを再生端末に応じて様々なファイル形式に変換(エンコード)する機能
(3) 変換した動画ファイルを置くストレージ機能
(4) 動画ファイルを再生、停止するための動画プレイヤー機能
(5) 大規模な配信にも耐えられるためのCDN機能
(6) オンデマンド配信だけではないLIVE配信機能
(7) 動画本編前や動画再生完了後に差し込む広告機能
(8) 動画配信に関わる履歴を元にした分析機能
(9) セキュリティを高めたストリーミング配信や暗号化配信機能
(10) 上記機能を他システムなどと連携するためのAPI機能

これらのラインナップからも、企業が動画配信を利用する際に必要な機能が備わっていることが分かります。

3. 有料動画配信プラットフォームと無料動画配信プラットフォームの違い

とはいえ、「YouTubeなどは無料で利用できるし、わざわざ有料の動画配信プラットフォームを利用しなくても良いのでは?」と考える方も多いかもしれません。しかし、有料動画配信プラットフォームには法人向けの数多くのメリットがあり、導入している企業も多くあります。

では、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。YouTubeなどの無料動画配信プラットフォームとの違いや、法人向けの有料動画配信プラットフォームを使用する理由についてご説明します。

~有料料動画配信プラットフォームを利用する理由①~

視聴制限をかけることが容易である

無料動画配信プラットフォームの場合、基本的には多くの人に見てもらうことを目的としています。しかし、社員や会員だけに視聴してもらいたいケースや、動画を自社サイトで販売する際に配信制限をかけたいケースもあるのではないでしょうか。

YouTubeにも特定の人だけに動画を閲覧できるようにする限定公開機能があるのですが、動画ページのリンク先URLが分かれば誰でも閲覧できてしまうことや、動画の本数が増えるとコンテンツ管理が煩雑になってしまうこともあって、法人向けにはおすすめできません。

それに対し、有料動画配信プラットフォームを利用すれば「特定のページドメインでのみ再生可能にする」「広告を配信している期間だけ動画を再生可能にする」「社内向けに動画配信するためのイントラやeラーニングサイト限定で配信する」「決済をしたユーザーにのみ配信をする」といった配信先のコントロールができます。

さらに、有料動画配信プラットフォームの中には会員管理機能や決済機能までついたサービスもあるため、会員制動画配信サービスや有料課金動画サイトをすぐにスタートすることも可能です。

~有料料動画配信プラットフォームを利用する理由②~

カスタマイズがしやすい

有料動画配信プラットフォームを利用すれば、「動画プレイヤーのデザインや種類変更」「任意のタイミングで広告を出す」「動画再生完了後に別動画の表示や問い合わせリンクを表示させる」といったカスタマイズが可能となります。

動画マーケティングを強化したい場合やオリジナルの動画サイトを運用したい場合には重宝するでしょう。

~有料料動画配信プラットフォームを利用する理由③~

システム連携のしやすさ

上記カスタマイズのしやすさと併せて有料動画配信プラットフォームが得意なこととして、システム連携のしやすさが挙げられます。有料動画配信プラットフォームではAPI(Application Programming Interface:プラットフォームが持つ機能を外部から手軽に利用できるようにする仕組み)を公開していることも多く、それを利用することで他システム連携との連携も容易になります。

例えば社員データと有料動画配信プラットフォームのデータをAPIで繋ぎこむことで、「どの社員がいつ、どれくらい動画を見たのか」といったことがわかるようになるのです。

動画配信のみならず、詳細な分析や機能の拡張などが容易であることも、有料動画配信プラットフォームの大きな特徴です。

~有料料動画配信プラットフォームを利用する理由④~

セキュリティレベルが高い「DRM」が使える

動画コンテンツ配信のセキュリティは、「動画コンテンツ保護なし」、「暗号化による動画コンテンツ保護」、「DRMによる動画コンテンツ保護」の3つに大別されます。その中でも「DRMによる動画コンテンツ保護」は、プレミアムコンテンツの配信に最適な、強固なセキュリティレベルを実現します。
DRM(Digital Rights Management:動画コンテンツを保護しながら配信することやその仕組みのこと)を使用すると、例えば、動画コンテンツのデータを専用のソフトで暗号化し、許可された特定の端末でしか視聴できないよう制御することが可能になります。

動画コンテンツ保護をかけずに配信する場合、不正アップロードや二次利用をされてしまう可能性があります。そのため、動画を有料で提供するようなサイトの場合、法人向けの有料動画配信プラットフォームが提供しているDRMを利用して、コンテンツを保護することをおすすめします。

▼詳しくは…

4. ぜひ法人向けの有料動画配信プラットフォームの検討を!

有料動画配信プラットフォームと無料動画配信プラットフォームの違いや、知っておくべき基礎知識についてご紹介しました。

ターゲットを特に指定せず広く拡散したい場合には無料動画配信プラットフォームの利用もできますが、動画コンテンツや配信先をコントロールしたい場合やセキュアな配信をしたい場合、高度なマーケティングを実施したい場合などには有料動画配信プラットフォームの利用が適していると言えるでしょう。

動画をビジネスに活用することを考えた場合、より汎用性の高い施策を実施できる有料動画配信プラットフォームの利用が有効となります。利用用途や目的、自社のサービス内容などを元に、法人向けの有料動画配信プラットフォームの利用を検討してみてはいかがでしょうか。