動画制作の前に!知っておきたい著作権・肖像権の基本の「キ」

入門

動画を制作する上で避けては通れない、「著作権」「肖像権」などの権利問題。

動画に登場する人物はもちろんのこと、偶然映ってしまった人物や撮影場所など、様々な箇所に注意する必要があります。

また、動画の中で楽曲を使用する際にも権利が関わります。

著作権・肖像権を侵害してしまった場合には、対象コンテンツの差し止めだけではなく、損害賠償を請求されたり、対応に多大な時間と労力が発生してしまう場合もあります。したがって、担当者としてだけでなく企業として、前もって著作権・肖像権に関する正確な知識を習得していくことが大切です。この記事では動画制作者や動画マーケティング担当者が、動画を制作または利用する上で知っておきたい著作権・肖像権について解説します。

1. 動画制作における著作権とは

著作権とは、文化的な創作物を保護の対象とする権利で、著作権法という法律で保護されています。

文化的な創作物とは、文芸、学術、美術、音楽などのジャンルにおいて、人間の思想、感情を創作的に表現したもののことで、「著作物」といいます。

著作権は、権利を得るための手続きを必要としません。著作者が意識することなく、映像などの作品の創作と同時に自動的に発生して効力が生まれるため、特許や商標などと違い、登録などの手続きは必要ないのです。このように自動的に権利が発生する考え方を「無方式主義」と言います。

著作権は権利の発生以後、原則として著作者の死後70年まで保護されます。

著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
著作権情報センター(CRIC)は、著作権...

【出典】公益社団法人著作権情報センター

個人または企業によって独自に制作された企業などの動画広告・動画コンテンツはもちろんのこと、個人が撮影した動画も著作物に該当します。ただし、他者の模倣コンテンツは著作物には該当しません。

また、アイディアは著作物として認められていません。あくまでも形として見える成果物が著作物となりますので、その背景にあるコンセプトなどは対象にはなりません。

なお、「著作者」とは著作物を創作した人のことをいいます。動画の著作者に該当する例としては撮影監督、プロデューサーのような、著作物に対して一貫したイメージを持ちそれを実現した人が著作者に該当します。

ただし、映画の著作物の著作者については、本来著作者である監督等が映画製作会社との間でその製作に参加することを約束した場合は、著作権は映画製作会社に帰属します。

さらに、著作権と近いものとして、「著作隣接権」というものがあります。著作物を創作した著作者ではなく著作物を広めるために重要な役割を果たしている人々、つまり、歌手や演者、レコード製作者、放送事業者などに認められる権利のことです。

例えば、テレビやラジオ番組の映像や音声をパソコンに取り込んでインターネット上に流すことは、著作権と著作隣接権の「複製権」、「公衆送信権(送信可能化権)」に抵触してしまうこととなります。

著作権法では、自分のWebサイトで、テレビやラジオ番組の映像や音声を取り込むこと自体、営利・非営利に関係なく、著作者と著作隣接権者の許諾がなければできないことになっています。

そこで動画を撮影する際に注意しておきたいのが、自分や自社で動画を制作した場合はもちろん、制作会社に撮影や制作を依頼した場合でも、意図せず著作権・肖像権が侵害されてしまう可能性が少なくないということです。

某有名アーティストのファンクラブサイトで公開されたオフショット動画に、意図せず版権キャラクターが映り込んでいたことが発覚し、その動画の公開が緊急停止されるなどの事故が起きた例もあります。

著作権を侵害してしまった場合の罰則

著作権侵害には、罰則が設けられています。意図的であるかどうかに関わらず、著作者から損害賠償請求や不当利得の返還などを求められる可能性が生じてしまいます。

また、著作者が告訴することで犯罪として罰則が科せられる場合もあり、著作権侵害の罰則は原則、「10年以下の懲役」もしくは「1,000万円以下の罰金」となる可能性がありますので注意が必要です。

さらにニュースなどで取り上げられてしまった場合には、社会的信頼の失墜など、より大きなダメージにもつながりかねません。

2. 動画制作における肖像権とは

肖像権とは、他人が無断で自分を撮影したり、自分が映っている写真や動画などを使用しないよう主張できる権利です。著作権とは違い法律上の規定はありませんが、裁判所の判例により法的保護の対象として確立されてきています。

写真だけではなくその人のイラストや写真を利用したデザインなどにも発生するため、注意が必要です。

企業で動画を撮影する際に注意しておきたいのが、自社の従業員だとしても、動画に出演すると肖像権が発生するため、事前に使用許諾を得る必要があるという点です。

退職後の動画利用についても従業員の許諾が必要ですが、明確な意向が得られない場合は、その動画の使用を中止または修正して使用するほうがよいでしょう。

システム更新の都合などにより、一定時間削除できない場合などもあるため、事前に許諾を得る際に、「退職後もしばらく掲載される可能性がある」などと記載しておくことが一般的です。

仮に社内用の動画であっても、肖像権に関しては社外用の動画と同じレベルの確認が必要になります。

その他にも、動画に無料素材やレンタル素材を使用する機会があるかもしれません。その際にもやはり気をつけるべき事項があります。レンタル素材は一律に使用許諾があるわけではないため、個々によって撮影したモデルの許諾を得ているか、登場する建物の許諾を得ているかなどの確認をしなければなりません。素材によって使用期間や用途が限定されている可能性があるので必ず確認するようにしましょう。

また、素材のサイト自体が信頼性として欠けていたり、何か少しでも疑問点や不安がある場合は、サイト運営者に問い合わせてみるのもひとつの方法です。

3. 音楽の著作権について

動画制作には音楽を使用する場合も多いですが、音楽にも著作権があります。

著作権がJASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)にあるかどうかで、使用条件や手順が異なってきますので、それぞれご紹介させていただきます。

JASRACが著作権を持つ楽曲を使用する場合

JASRACが著作権を持つ楽曲をインターネット上の動画配信で使用する場合、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。

インターネット上の音楽使用については、「商用配信」「非商用配信」に分かれています。

商用配信の場合

収入の有無にかかわらず営利目的で行う配信のことで、企業や個人事業主が利用する場合にはすべて当てはまります。商用配信の場合には、あらかじめ音源制作者などに使用許諾を得た後、JASRACに対して以下の手続きを行うことにより利用が可能となります。

1. 商用配信用の動画コンテンツを制作することに係る手続き

2. 1の手続きが済んだコンテンツをインターネット上で配信することに係る手続き

動画配信(商用配信) JASRAC
動画配信(商用配信)について紹介します。...

商用配信の場合には使用許諾を得た後にJASRACに対して使用料を支払う必要もありますので、事前に確認しておきましょう。特に個人よりも法人で利用する方が、厳格な管理が必要であると考えられます。

非商用配信の場合

個人・非営利団体等が非商用目的で利用する場合に、JASRACが包括的契約を結んでいるYouTubeのようなUGC(User Generated Contents:企業ではなく一般ユーザーによって作成されたコンテンツのこと)サービスに投稿する場合については、JASRACと許諾契約を締結しているサイト内で一定の条件を満たせば、JASRACに許諾を得なくても動画をアップロードすることができます。

ただし、音源の制作者である企業に使用許諾を得ることが必要です。JASRACが利用許諾契約を締結していないサイトでは利用することができません。

※最終更新2022年10月14日 JASRAC
日本音楽著作権協会(JASRAC)のトピックスを掲載しております。日本音楽著作権協会 JASRAC

JASRACが著作権を持たない楽曲を使用する場合

JASRACが著作権を持たない楽曲を使用する場合の楽曲使用に関しては、以下の3つがあります。

著作権フリーの楽曲を利用

音楽の利用において、著作権フリーのものも数多く存在します。著作権フリーとは、著作物に著作権が存在しない状態または放棄された状態のことを指し、基本的には商用利用も可能な楽曲となります。著作権フリーの楽曲を利用することで安全に動画制作をすることもできるので、うまく活用してみましょう。

ただし、著作権フリーの楽曲でも商用利用が可能か、楽曲の加工有無が可能かについては確認をしておきましょう。YouTubeでも無料で利用可能なオーディオライブラリが用意されていますので、場合によってはこちらの利用もおすすめです。

楽曲を購入

楽曲を買うことで著作権を移転させることができます。比較的お手頃なものから高価なものまでありますので、予算に応じて検討してみましょう。買い取った後でも商用利用が可能かどうか、加工の有無についても確認するのがおすすめです。

iTunesで購入した楽曲については、動画には利用できませんのであくまで個人で楽しむようにしましょう。

オリジナルで楽曲を作成する

予算があれば、オリジナルの楽曲を作成するのもよいでしょう。特に企業で利用する場合、一度作成した楽曲を他の動画でも利用することもできますので、今後も複数の動画で利用する場合には利便性が高まります。

特に指定がなければ動画制作会社にお願いして、最適なものを用意してもらうのもいいかもしれません。

4. 動画を作る前に著作権・肖像権を正しく理解しましょう

動画を作って利用する場合、著作権・肖像権を正しく理解しておくことで後々のトラブルを回避することに大いに役立ちます。

特に企業での動画利用の場合には、損害賠償や社会的なダメージを受けてしまう場合もありますので、社内でしっかりと確認しておくことが重要です。

また、他者の権利侵害にならないよう制作した自社の権利を、承認していない違法なダウンロードやコピーデータの拡散などから守るために、コンテンツ保護を目的としたDRMの利用を検討してみるのも良いのではないでしょうか。

詳しくは・・・

また、動画配信プラットフォーム「ULIZA」は、動画を違法ダウンロードから守る機能を完備しています。

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※本記事の内容は、すべての動画に該当するとは限りません。具体的な利用や適法などについては、個別に法律の専門家にご相談ください。